かつての日本サッカーには
Jリーグのようなプロリーグが存在せず、
夏の甲子園のように、冬の国立と呼ばれた
全国高校サッカー選手権大会が
国内サッカーの有名な大会でした。
もうひとつ有名なのが、
マンガ「キャプテン翼」で有名な、
よみうりランドで開催される
「全日本少年サッカー大会」がありました。
子どもたちのサッカー環境も、
スパイクを履けるグラウンドもあれば、
当時「ズック」と呼ばれるような、布製のサッカー用
トレーニングシューズで、ボールも現在のような縫いボールではなく明らかに人工皮革の貼りボールが主でした。
ワールドカップモデルのボールが流行でしたが、まだ32面体の亀甲式ボールデザインが主だったころです。
オリンピック予選もアジアで勝つことさえ難しく、
ワールドカップなど夢のまた夢で、年に一度来日する欧州と南米のクラブチームのトップスターのプレーに魅了され、
翌日の練習で真似をしては繰り返すような日々でした。
当時の指導者は経験者も少なく、とにかく走る、蹴るを重視し、暗くなっても走らされたり、鉄拳制裁も当たり前の光景が容認されてしまうような時代でした。
高校サッカーが終わると「燃え尽き症候群」ともいわれ、
選手活動を続ける人も少なく、サッカーは高校までというのも時代の流れにあり、大学サッカーに注目されない時代も
ありました。だからこそ精神論などが主になる高校サッカーはまだまだ厳しい内容が続く時代でした。
そんな世代で育った私たち指導者陣の学生時代の過去を、
心のどこかにそういうことが「嫌だった」と思う反面、
そういう事を耐えて頑張れたからこそ今があるという、
屈折した考え方に耐えてきたことを美学にしてしまうような
風潮が今なお根強く残っています。
上下関係の厳しい体育会系サッカー部内でも、
普通に言動等で傷つけるような「いじめ」に相当する言動も
先輩には逆らえないという世界で生きていくためには
ここを耐えて乗り越えてこそ認められる事を「評価」として
考えるようになり、内容は千差万別ですが、上が下に対しての行動や言動は当然という光景もありました。
子どもたちを指導していくことは、本当に大変なことですが
そんな子たちが一喜一憂して喜んでくれたり、悔し涙を流す事で私たちも同じ気持ちを共有できる反面、子どもたちよりも先に熱くなりすぎて言動や指導の内容に不適切な内容や行動がこの札幌中央フットボールクラブでも過去に多くありました。
①「監督はこんなに悔しがっているんだぞ!」
②「やることを教えたはずなのに集中しているのか?」
③「こんな負け方でなんとも思わないのか?なぜヘラヘラできる?」
こんなことに何度も叱責を繰り返し、有能な人材さえ失ったことがありました。
上記の内容にしても、
①監督が悔しがる前に子どもたちに悔しいと思わせる指導が
できていないから負けた現実を受け入れられていないだけ
②集中できるような環境づくりが
本当に試合前にできていたか?
③次に向けて切り替えができているという前向きな捉え方が
できない指導者の考え方
だと考えることができれば、 子どもたちに対して伝え方も変わり、考えさせることもでき、工夫ができますが、感情のままにぶつけてしまってはそこからは何も生みません。
公益財団法人日本サッカー協会でも、
現在サッカー界における暴力・暴言の根絶を目指しており、
プレーヤーの保護の観点から、同じサッカー仲間への気づきを行う役割として、「ウェルフェアオフィサー」という役割の人材を育成しようとしています。
もちろん、規律を乱すことや礼節を重んじない行為などは
場合によっては厳しく律していかなければなりませんが、
少なくともサッカーの技術的要因や努力している場面において、私たち大人の指導者は、チームの所属内外を問わず、
すべての子どもたちに喜びと夢を与える義務があります。
指導者は
「けんきょ」であり続け、
「がまん」をして見届け、
「えがお」で送り出すことを心がけています。
選手時代のように判定に一喜一憂すると、
子どもたちも同じようにセルフジャッジで試合を止めて
最後までボールを追うことをしなくなります。
苦しい場面を我慢しない姿勢を行なうと、同じように苦しい場面で守備に奮闘する選手が生まれません。
笑顔で受け止めないと、試合の雰囲気が一気に崩れます。
そして仲間を励ますことをしなくなります。
このような問題に
かつて私たちのチームに所属してくれたのに去っていった
仲間たちへ、過去に失敗したことがあるからこそ、
この問題に率先して取り組んでいきたいと考えています。
同時に保護者だけが集まり、 輪を作るようなことを嫌い、練習時の介入をさせていない事も全ての選手の保護者であってほしいという願いからです。
観戦以外の場面で参加することをできるだけご遠慮頂き、純粋に試合の応援だけに徹して頂くようにお願いしています。
同時に私たちはサッカーの指導におけるライセンスを有し、
経験だけに頼らない資格者(プロフェッショナル)としての
意識を持つことで向き合うことを求められていると思うからです。
Jリーグが発足し20年。海外へ進出する選手も多くなり、
同世代ではアジア各国を転戦するプロ選手も活躍する時代です。かつての時代が嘘のように激変した時代になりました。
将来プロになりたい、プロにさせたい。
とにかく勝てるチームに行きたい、
または保護者がわが子の活躍だけを追いたい!
このような考えがあるのであれば、私たちのチームよりも
もっと他に勝てるチームや、強いチーム、技術だけに特化した素晴らしいクラブはいくらでもあると思います。
育成に対して賛同いただけない場合は、他のクラブで
育てて頂き可能性に賭けることも、選択肢のひとつです。
本人が本当にその路線を自ら望んでいれば…ですが…。
札幌中央フットボールクラブの子どもたちには
「じ」・・・自信を持ってプレーしよう
「か」・・・考えて行動しよう(プレー以外の場面でも)
「く」・・・悔しがり、そして次につながる工夫をしよう
の3つを常に考えさせています。
まだまだ発展途上にあるチームですが、文武両道であり、
少ない時間で量よりも質を求める練習で、子どもたちが遊びの中から何かを見つけられるような活動を、子どもたちと
ともに、これからも取り組み続けたいと思います。
「札幌中央フットボールクラブの指導者は、すべての
子どもたちに夢と希望を与える責任があります」
今後の活動にぜひご期待ください。